単行本で置いてあるのがたまたま目について、サンデル博士の『実力も運のうち 能力主義は正義か?』を読んでみた。
率直な感想としては、自身の持ち合わせる知識では本書で主張する論考に耐えられない、といったところ。
哲学書にしろ社会学を扱う新書にしろ、この手のモノを読むには相応の「筋力」が必要だとよく言われる。普段から慣れ親しんでいないのにいきなり読み始めても、消化吸収しきれない。
というかこうしたジャンルに限らず、素朴にもっと本を読めるようになりたい。そう考えてこのようなブログもはじめたのだった。
本書の「タイトルだけ」は以前からずっと気になっていた。
最近どうも、自分の実力や本質よりも、自分のインターフェース部分だけが一人歩きして勝手に過大評価され続けているように感じている。
そうやって怯えながら暮らしているものだから、その表紙に引かれたのかもしれない。下手すると実力と運の順が逆でも手に取っていた可能性がある。
ただ、本書はもっともっと広範な、能力主義が世界の政治経済に与える功罪についてビッシリと説明された哲学書であって、私の抱えるごくごく個人的な悩みに対して有効な何かが書いてあるものではない。
ちょっと解説を読めばすぐ分かるのに、なんでもっと早く気が付かなかったのか。
結局、まず解説やサンデル教授の対談記事など周辺知識を埋めるところから入らざるを得なかった。購入してから2ヶ月ほど積んでおき、さらに読み初めてから読了するまでに2週間はかかってしまった。
不学な自分がこの本から何か得られる洞察があるとすれば。
「成功したなら謙虚に生きよ、落ちぶれてもさして気にせずに歩み続けること」 といったところか。
またそう生きることで、生きづらい時の自分を許せるようになるだろう。
(これだとサンデル教授の言いたいことではなく、前段のロールズの主張で止まっている気がする
こんな骨太な本じゃなくて、次はもっと手軽な小説か何かについて書きたい。
以下は評論というよりただの読書メモだ。が、自分にとって一定分かるように言語化したものは、他の誰かにとっても有益であると信じたい。