yoshiakist

乾いた文章

Kindle にあった『壇蜜日記』をふと思い出して読む。
2014年の本で一度読んだきりだったが、それ以降も10作ほどエッセイが出版されていたようだ。

文体に独特な雰囲気があるが、それを表す適切な言葉が思い浮かばない。
Googleで「壇蜜 文章 特徴」などと検索すると、それらのエッセイについて『からっとした文体』と評する投稿を見つけ、なるほどと思う。
どうやら彼女のテキストの匂いに当てはまる語は「乾いた」のようだ。

さらに調べてみると、乾いた文章といえば引き合いに出されるのはヘミングウェイ、次いで村上春樹らしい。
『老人と海』は中学生の頃に読んで一連のストーリーも覚えているが、その文体については記憶していない。解説サイトによれば、名刺と動詞と会話文だけで文章が構成されており、形容詞を削ぎ落としていくことで乾いた文章ができるのだとか。

「ハードボイルド」と呼ばれるスタイルと似たようなものだろうか。あくまで客観的に徹し、感情や余計な先入観を込めない文章。登場人物の行為・行動のみによって事実が語られる形式。

……とはいっても、壇蜜日記は少し違う気がする。感情の描写もあるし、それが思わぬ方向に跳ねて、変なところに着地したりする。自虐や皮肉が時おり交じりながらも、日々が淡々と綴られている。
あと特徴として、日記形式なので一文は短め。固有名詞が出てくることは少ない。「」や()のような記号もあまりない。書き捨てるような文末も多く、特にまとめたり結論付けたりすることをしない。

何より縛られてない感じがいいなと思いつつ、意識して真似できるものでもなさそう。
じわじわと、自然にそうなっていくしかない。