まさか自分が1500人もの同僚の前でブルーカーペットの上を歩くことになるなんて。
今からちょうど一年前、入社したての頃に全社ミーティングに参加した。その時は受賞者のことを「技術力と行動力の化身なんだろう」と他人事のように眺めていたものだ。

入場のBGMに好きな曲を選んでくださいと言われたが、ここで沁み入るようなJazzやら超絶技巧のアカペラを流してもしょうがない。己を捨て、とにかく分かりやすさ重視で「島唄」をサビから流してもらうことにした。
沖縄にも社を盛り上げられるメンバーがいるぞ、ということだけアピールしておければそれで良い。

本当に自分では大したことをしていないのにと思う一方、それを凄いと言ってくれる人がいる。何がどう評価されるかなんて完全に運だ。
もしかすると今が人生で一番輝いてあとは落ちぶれるだけなのでは…… なんていつもの卑屈な思考パターンに呑まれてしまいそうになる。私を選んでくれた誰かに失礼だ。

もっと技術的な成果によってノミネートされたかったところもあるが、そんな思いすら傲慢に過ぎる。
こんな機会はそうない。精一杯歩こう。
決して奢らず、でも変にへりくだらず、また淡々とやっていくしかない。

ー 7月11日、ホテルの一室にて