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ヒナギク

ヒョウモントカゲモドキを飼い始めた。
別名、レオパードゲッコー。爬虫類好きにはよく知られた種類で「レオパ」として親しまれており、様々な色の個体がペットとして販売・飼育されている。

先日、World Animal Festival 2025 という爬虫類の大即売会に行き、衝動的に購入を決めた。
一応 World Animal というだけあってモルモットやモモンガなどを売っている業者もあったが、大多数がトカゲ、カメ、ヘビ、あるいは蠍や百足などの「エキゾチック」な動物ばかりだ。それらが小さな容器に入った状態で、所狭しと並べられていた。
販売スタッフが「手に乗っけてみますか?」と尋ねてくるので、おずおずと掌を差し出す。初めて触ったレオパの腹はふにふにと柔らかく、ほのかに冷たい。手足は細く、瞳はつぶらだ。

会場内を何周かぐるぐると巡るうち、ついに白と黄色のその子を見初めた。左目に僅かに奇形があり、目を閉じてもピタッとは閉じず、右目でウインクしているように見える。私の目の癖と全く同じだと感じ、その子を飼うことに決めた。急いで最寄りのメイクマンに向かい、飼育用の砂やレイアウト用の流木、石なんかを買う。準備を整えてからすぐに即売会の会場に戻り、そうして唐突に一匹のレオパを買った。

使っていなかった30cmキューブ水槽を洗浄し、ソイルを敷く。その上に流木や石を組んで設置する。上に水が貯められるシェルターを置き、お迎えの準備が完了した。
狭い販売用の容器の蓋を開いて新しいおうちに置いてあげるが、なかなか出て行こうとしない。慎重な子なのだ。十分ぐらい過ぎたころようやく身体の大半が容器から出た。

私の部屋にはクーラーがついていない。沖縄のマンションの一室であるここの室温はおよそ26℃で人間にはやや暑く感じるが、調べるとレオパにとってはかなり涼しい場所ということになるらしい。次の日に急いでヒーターを買いに行く。ついでに、冷凍コオロギも買った。その姿形に若干の抵抗があるが、これも可愛いこの子のため。すぐに慣れるはずだ。

ここまで買い揃えたところで、真剣にこの子の名前について考え出した。雌の個体ということで、白と黄色の鮮やかな体色に合う名前は無いかと考え、「ヒナギク」と名付けた。毎日ヒナちゃんと呼びながら世話をしている。
水槽で魚を飼ったことはあったがあまり生物を世話している実感はなく、どちらかというと生態系を整えている感覚の方が近かった。それに比べて爬虫類となると、これこそ「自分が主体的に世話をする初めての動物」という感じが出てくる。
声をかけたり、糞を取ったり、水をあげたりするたびに、オキシトシンが分泌されているのが分かる。癒されるのだ。

何日かするとヒナちゃんは用意したシェルターが安全で落ち着く場所だと認識したようで、日中はそこにこもって眠り、夜になるとのそのそと動き回って流木の上に登るようになった。冷凍コオロギも口に合うと分かったのか、昨日は2匹食べることができた。順調だ。
飼育に慣れてきたらもっと本格的なケージを購入して、壁面や天井近くまで立体行動できるようなレイアウトにしてあげたい。

個体にもよるが、レオパは10年から長くて20年ほども生きるものらしい。10年後なんてどうなっているか、もうさっぱり分からない。先日のエントリで書いたように、キャンピングカーで放浪生活を送っているかもしれない。
もしそんな時にも静かな相棒が側にいてくれたら、私は変わらず幸せだろう。